【ワイン会】ボルドー右岸・左岸の会(Ch. La Fleur & Ch. Lafite Rothschild 垂直)

かなりの時差投稿になってしまいましたが、4月に参加したワイン会の記録をしようと思います。

上掲のアイキャッチ画像は、ていねいに・おごそかに会場まで運ばれ、抜栓を待つワインたちの様子です!
(なお、今回の記事の写真はすべて夫撮影です。ありがとう! 彼のinstagramアカウントはこちら

今回のテーマ

ボルドー右岸と左岸。
土壌のまったく異なるこの2つの地域から、それぞれ1つずつのシャトーを垂直で飲む会です。

Ch. La Fleur と Ch. Lafite Rothschild の垂直で、しかも La Fleur に関してはかなりレアな1本が含まれていました。
そのため、わたしにとっては生涯最高額のワイン会で、これに夫と2名で参加するために、しばらく日々の節約をがんばらなければなりませんでした。笑

でも、お金のことよりも、「果たして自分はこのワインに向き合えるのだろうか?」という不安のほうが、とても大きかった!

この不安に押しつぶされそうで、ワイン会当日まで2〜3日すごくメンタルが不安定だったし、当日会場に向かう道中でもずっと「わたしに今晩のワインを飲む資格はあるのだろうか……」と自問自答し続け、どうやってお店にたどり着いたのかほとんど覚えていません。

お料理 @hidamarino

テイスティングノートの前に、お料理の写真を載せておきます。
今回は京都のhidamarinoさんにて、うつくしくて美味しいお料理をワインと共に楽しませていただきました。

すべてのお皿が芸術でした。
しかもワインを邪魔しない。なのに美味しい、不思議でした。

これまで、自分はあまり貝類(生牡蠣以外)が得意ではないと思っていたのですが、このとき出していただいたいろいろな貝をすべて心から美味しいと感じることができました。
こうして貝を美味しく食べられたことで、貝の持つミネラル感がワインのそれとすごく合うという(おそらく貝がお好きな方には当たり前のような)感覚が初めてわかり、とても嬉しかった!

ワインのサーブもすごく丁寧に的確にやってくださり、終始、美味しく楽しい時間を過ごすことができました。

テイスティングノート

では、ワインの感想です。

当日に取ったメモを参考に思い出しながら書いているので、終盤に差し掛かるにつれて短く曖昧になっている感があります。

そしてこの会では、Ch. La Fleur 1955 が突出して偉大すぎたので、文の量にかなりの差があります。
でも、すべてのワインについてメモを残すことにも意味があると思うので、全部書きますね。

右岸:Chateau La Fleur

ボルドー右岸は一般に粘土質土壌と言われますが、表面まで粘土質なのはペトリュスだけで、このラ・フルールは砂の下に粘土の層があるらしいです。

・Ch. La Fleur 1955

※ La Fleur では1956年にブドウが植え替えられており、その直前の激レアヴィンテージ。きっともう一生出会えない。

とつぜん自分の目の前に、とてつもない量の「時間」が積まれ、しかもその時間の中に数えきれないほどの人間の死顔が刻まれているように感じました。

自分のグラスにこれが注がれてからしばらく、このワインにどうやって対峙すべきなのか? 戸惑っていましたが……

大先輩より、「古いワインは一瞬ごとに変わっていくよ」というアドバイスを受け、できる限り一瞬一瞬を感じるということに集中して飲みました。

すると本当に一口ごとに、香りと味わいのニュアンスが変わり……

古い土、きのこ

鉄、肉、血

すごく美味しい紅茶

さわやかな酸味のある果物

ベリー系の果物

こしょうなどのスパイス

すべての要素が馴染んで、全方向に花弁を広げてくれる
(ここでクライマックスかと思っていたのですが)

薔薇
(ここに来て新たな要素。開いた花の中心から現れるかのように)

少し煮詰めたいちご

タンニンの主張

大スペクタクル。
すごすぎて、どうしたら良いのかわからない。

わからないけれど、飲みながら心の中には、不思議な気持ちが滲み出してきました。

目の前の液体が存在するために直接的に・間接的に関わってきた人間たち(つまり自分も含め、これまで生きてきた人間全員!)が、みんなとても親しみ深いような、でも同時に崇高なような気がする……そんな気持ちです。

わたしは人間というものに対してこんな感情を今まで抱いたことがなかった。人間は基本的に醜いものだとばかり思ってきたのです。今だってそう思っている。でも、このワインを飲んだときは確かに違った。

グラスが運ばれてきた瞬間そこに見たような気がした無数の人間の死顔は、今思えばとても生き生きとしたものだったのだ、でも同時にやはり、畏れるべきものなのだ、人間とはそういうものなのだと、確かに思ったのです。

・Ch. La Fleur 1988

輝きがあり、黒みとオレンジみの混ざった力強い色調。

この古さにもかかわらず「娘」っぽさを感じます。
なんとなく、経血のようなニュアンスがある(しかも不快ではなく快い方向で)。

ワインに血の香りや味わいを感じるのは非常によくあることだけど、このような特別な血液の印象は初めて感じました。
たぶん、鉄分に加えて、熱を帯びた(?)カシスや黒いベリーのような要素があったのが要因なのでしょうか?

・Ch. La Fleur 1992

フレッシュな薔薇!
みずみずしく、艶のある、まだ萎れていない薔薇特有のニュアンスを強く感じました。

それなのに、余韻の中には、枯れた花びらのような旨味が――

花の一生を感じるような美しいワイン。

・Ch. La Fleur 1994

かなり強い鉄分とタンニン。
まだまだ早かったのかな? とも思いました。

「旨味=タンニン」という謎のメモが残されています。
タンニン由来の旨味、美味しさ、ということなのかな?

左岸:Chateau Lafite Rothschild

・Ch. Lafite Rothschild 1980

黒いベリーの香りに、鉛筆の芯(典型的なラフィットの特徴だそう)のような力強い鉄のニュアンスが加わっています。

これも時系列で味わいの変化を表すならば、

すごく細かい鉄粉がビロードのようになめらかになって纏わりついてくる感じ

血のソーセージ

赤いベリー

ラ・フルールよりも、いわゆるボルドーらしさがあるのではないかなあと思いました。タンニンもかなり強いです。

・Ch. Lafite Rothschild 1984

薄い煉瓦色で、輝きも減ってきて、外観に熟成感があるので、香りや味わいもそんな感じかなあと思っていたのですが。

かなりフルーティーでジューシー! 甘い!

その印象のあとにラズベリーのような酸、そして余韻にかけてソーセージのような肉のニュアンスが支配的に。

全体としては「まだまだフレッシュ」な印象で、外観とは裏腹な感じが面白かった。

・Ch. Lafite Rothschild 1985

今度は黒いベリー(ヴィンテージによってベリーの種類が違うの面白いです)

血のゼリー寄せ(?)のような感じで、かなり大人の味。
わたしには少し強すぎました。

・Ch. Lafite Rothschild 1986

濃厚な肉! そして鉄分!
1980でも感じた「血のソーセージ」感ですが、断然この1986のほうが本物のそれに近い。

1985と同じく力強いですが、わたしは1985より1986のほうがちょっと好みでした。

泡・白

その他に、いくつかのシャンパーニュと白ワインを頂いたので、そちらも記録しておきます。

・Bérèche et Fils Reflet d’Antan Brut

ソレラシステムを用いて複雑な味わいを出しているシャンパーニュ。

シェリー的な香りと酸をまず感じます。
この酸はかなり尖った感じなのにジューシーで、コクとミネラル感を伴っていて複雑な美味しさ。

そのあと時間を置くに連れて、はちみつ感が増してきました。

酸ひとつとってもかなり複雑な構成という感じがして、余韻の酸の中にある旨味もすごくよかったです。

・Roses de Jeanne Côte de Bechalin

なんていったらいいのかわからない充実感、幸福感……しあわせなシャンパーニュでした……

↑の Bérèche et Fils では、様々な要素が複雑に絡み合っていたのに対し、こちらは、様々な要素が混ざらずにクリアに存在している。

それでいてバランスがすばらしくて、よくわかりません。笑

BBRから購入して持ってきていただいたため、保管状態も抜群とのことでした。

・Ch. Smith Haut Lafitte Blanc 1996

ボルドーの白、進んで飲むことがあまりないので、ありがたい機会でした。

オレンジ、あんず、マンゴーなど、柔らかく熟れただいだい色の果物の甘い香り。

焼けたようなシェリーのようなアタック。
そこからの序盤〜中盤は、上品で透き通った酸と、出し殻のような枯れた旨味が感じられ、複雑な味わい。

それがなんと余韻に進むにつれてだんだんとピュアな印象になってゆく!
面白い体験でした!

・SILEX Pouilly-Fumé Didier Dagueneau 2006

ブラインドでした。わたしは南アフリカのシュナン・ブランかと……硬質な感じがしたんですよね。

パインやトロピカルフルーツの感じに、若干の青み。
「若ごぼう」とおっしゃった方がいて本当にそのとおり! という感じ。こういうテイスティングワードのセンスがほしい!

フルーツ感が非常に濃厚ですが、そこに豊富な酸がバランスを取って、充実した味わいでした。

二次会 @ Mescita Pane e Vino

会の途中で新保社長の話題になり、わたしがまだジビーフを食べたことがないということで、取扱のあるお店に案内していただいたのですが、あいにく売り切れ。

でも、どのお料理もとっても美味しかった!

ワインは

・Domaine Christian Binner Pinot Noir 2014(アルザス)
・農楽蔵 NORA Rouge 2017
(北海道)

をいただきました。
ここではあまり有用なメモを残せていないので、記事には載せません。

楽しくて、こちらもぜひまた訪れたいお店でした。

参加してよかった!

今回のワイン会、本当に行ってよかったです。

すばらしい体験でした。
人類みんなにありがとうと言いたい。

そして今回は、ワインを嗜む方々との新しい出会いも多くありました。
ワイン会でいっしょにテーブルを囲む皆様が、それぞれにワインやお料理を表現なさる言葉のすべてが、わたしにとっていつも宝物のような大切な記憶となります。

ワイン会で出会う人はみんなグルマンなのですが、今回はその中のおひとりと、まったく同じ会社から炭焼き用の備長炭を買っているとわかったのがすごくびっくり&嬉しかったです。笑

これからどんどん美食の道を突き進みたいです。
皆様からの美味しいもの情報を24時間お待ちしております。

では、
すごくすごく長い記事になってしまいましたが、ここまで読んでくださった方(いる?)ありがとうございました!

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