Twitterがきっかけで、WSET Level3の勉強会に参加できることになりました! 主催してくださっているのは、vinobreka CEOのなんぶさん(@mate0rich_2)。開催場所はclubhouseです。
毎週決まった範囲のなかで、1人1つずつ質問を用意しておき、ほかの人がその場で考えて答えるスタイルで進行します。このやり方で勉強を進めると、テーマごとの重要ポイントが整理できてとてもすばらしいです。WSETの採点は加点方式だということもあり、各分野でのポイントをもれなく押さえておくことが非常に大切!
せっかくなので、勉強会でメンバーから出た質問とその答えを、ここにまとめておくことにしました。テキストが完全に網羅されているわけではないけれど、重要度の高い部分をけっこう幅広くカバーできそうな気がします。
現在勉強されている方、これから受験される方、WSETに関係なくワインに興味のある方など、誰かのお役に立てれば幸いです。
(clubhouseにアカウントがあればリアルタイムで勉強会の様子をのぞくこともできるので、気になる方はぜひ!いまのところ、毎週水曜7:00から開催されています)
まずは、フランスがテーマだった第1回・第2回の分🇫🇷 地域ごとにまとめています。内容に間違いがあれば、コメント等でどうぞご指摘お願いします。
ボルドー BORDEAUX
Q. ボルドーブレンドにおいて、カベルネ・ソーヴィニヨンにメルローを加えることでどのような効果が得られるか?
- タンニンを柔らかくする
- 果実の風味を加える
- ボディを加える
- 味わいを複雑にする
- バランスを整える
- 色調が明るくなる
ボディについてどなたかがおっしゃっていた「カベルネ・ソーヴィニヨンがドーナツで、その真ん中の穴をメルロで埋める」という表現がわかりやすかったです。
また、メルロは早熟な品種なので、寒い年でも凝縮したワインが作れるという点も押さえておきたいですね。
Q. ソーテルヌのような貴腐ワインは、どのような条件で造られるか? また、ワインのスタイルはどのようになるか?
条件
- 果皮が薄いブドウを使う
- ブドウが完熟する
- 朝に湿度が高くなり、午後は暖かく乾燥する環境
スタイル
- 甘口
- 酸も高い
- はちみつ
- アプリコット
- マーマレードのような柑橘類の皮
- 熟成に耐える
- 高価である
貴腐菌は、朝に霧がかかるような湿度の高い環境でブドウに感染。そして、午後に日が照って乾燥することでブドウ中の水分が蒸発して、酸・風味・味わいが凝縮します。(しっかり乾燥しないと灰色カビ病になってしまう……😭)
質の良いブドウを厳選するために手摘みする必要があり、果実は干しブドウ状になるため取れる果汁も少なく、糖度の高さゆえに醸造の難易度も高い。そのため価格が上がるんですね。
ブルゴーニュ BURGUNDY
Q. コート・ドールのプルミエ・クリュやグラン・クリュは、どのような場所に位置していることが多いか。その位置にあることのメリットは何か。
- 斜面の中腹にある
- 特によい畑は、南または東向きの斜面にある
- 霜害のリスクが低い
- 南・東向きの斜面の場合、偏西風から守られる
- 日照量が確保できる
- 水はけがよく痩せた土壌であることが多い
水が斜面を流れ落ちていくため、霜害リスクは平地のほうが高くなります。中腹(mid-slope)には、高度が適度で気温が下がりすぎないという良さもあります。
アルザス ALSACE
Q. アルザスの気候の特徴を述べよ。
- 冷涼〜温和(moderate)な大陸性気候
- ヴォージュ山脈によって湿った偏西風から保護されている
- 乾燥している
- 曇らない→日照量が多い
優れたワイン産地に「山に守られる地形」は多いようです。アルザスを一つの典型例として覚えておくと便利そうですね、という話になりました。
Q. アルザスの斜面にある畑と平地にある畑で、仕立てはどのように異なるか。
- 斜面
- 地面からの放射熱を受けるために低く仕立てる
- 日照を最大限受けられるような向きにする
- 平地
- 春の霜を避けるため高く仕立てる
Q. アルザスで使われるブドウ品種にはどのようなものがあるか。
- 貴品種
- リースリング
- ゲヴュルツ
- ピノ・グリ
- ミュスカ
- その他
- ピノ・ブラン
- オーセロワ
- シルヴァネール
- ピノ・ノワール
Q. アルザスワインの発酵時のオプションにはどのようなものがあるか。またそれらのオプションはワインにどう影響するか。
- 樽かタンクか
- 古い大きなオーク樽
- 伝統的な選択肢
- 木の香りがワインに付くことはない
- ステンレスタンク
- 温度調整が容易になり、クリーンなワインになる
- 古い大きなオーク樽
- マロラクティック発酵の有無
- ピュアな果実味を隠してしまうので、リースリングのようなアロマティックな品種には使われないのが一般的
- 採用すれば乳酸系の風味が付き、酸がやわらかになる
大前提として、アルザスではアロマティック品種が代表的であり、つまり第一アロマが大切だということをしっかり意識したいです。
Q. 原産地呼称「Alsace」と「Alsace Grand Cru」の特徴を述べよ。
Alsace
- ほとんどが単一品種
- 品種名を書く場合、100%その品種でないといけない
Alsace Grand Cru
- 50以上ある
- 原則として4種の貴品種のいずれか1つだけしか使えない
- 畑名、収穫年、場合によっては品種名を書く必要がある
- 主に栽培地の境界線について当初から議論がある
グラン・クリュで手摘み収穫が義務であること、収量制限、品種ルールの例外などについては、Lv3のテキストでは述べられていませんね。
Q. アルザスには、「Alsace」「Alsace Grand Cru」という原産地呼称のほかに、2つの格付けがある。それぞれの名称を挙げ、特徴を各2つ以上述べよ。
- Vendanges Tardives(VT)「遅摘み」
- 4種の貴品種のいずれかのみしか使えない(リースリング、ゲヴュルツ、ピノグリ、ミュスカ)
- 品種によって最低限度の糖度が決まっている
- 一部貴腐も使われる
- 辛口から半甘口まである
- Sélection de Grains Nobles(SGN)
- 4種の貴品種のいずれかのみしか使えない
- 品種によって最低限度の糖度が決まっており、それはVTより高い
- 貴腐ブドウを使って糖度
- 甘口
- 毎年つくられるワインではない
今回の勉強会でなぜか大人気だったアルザス!ここに上がった6つの質問にすらすら答えられるようになれば、もうけっこう完璧なのでは……?
ロワール川流域 THE LOIRE VALLEY
Q. SavénnieresとVouvrayではどちらもシュナンブランによるワインが造られているが、両者はどのように異なるか。
- Savénnieres
- 山脈の風下→暖かく乾燥している→遅摘み可能
- フルボディ
- トロピカルフルーツ
- 複雑味がある
- 辛口
- 熟成可能
- 新樽を使うこともある
- Vouvray
- 冷涼で粘土質
- ライト〜ミディアムボディ
- フレッシュな果実(青リンゴ)と花
- スタイルが多様
- スティルだけでなく泡(フレッシュ)がある
- 辛口から甘口まである
- オークを使うことは稀
Q. サヴニエールの気候について述べよ。
- 冷涼な大陸性 Cool Continental climate
Q. サヴニエールのスタイルについて述べよ。
- 青リンゴ
- レモン
- 芝
- 濡れた石
- ハチミツ
- 辛口
- 高い酸味
- フルボディ
Q. シュナンブランで造られたワインは青臭くなることがあるがそれは何故か?青臭さを抑える方法は?
- 青臭さは未熟な果実に由来する(メトキシピラジンmethoxypyrazine)
- シュナンブランは不均一に熟すため房の中に未熟な果実が残りやすい
- 青臭さを抑えるには
- 選果の際に未熟なブドウを取り除く
- 房全体が熟すまで収穫を待つ
化学物質の名称は、Lv.3では覚えなくてよいとのことです。
ローヌ RHÔNE
Q. ローヌ北部と南部の違いを、気候・地形・品種に着目して述べよ。
- 気候
- 北:大陸性(温和 moderate)
- 南:地中海性
- 地形
- 北:渓谷→急斜面
- 南:北より平坦
- 品種
- 北:少ない
- シラー、ヴィオニエ、ルーサンヌ、マルサンヌ
- 1〜2種類のブレンド
- 南:多種多様
- グルナッシュ、シラー、ムールヴェードル、サンソー、ヴィオニエ、マルサンヌ、ルーサンヌ……
- 多品種のブレンドが多い
- 北:少ない
その他に、以下のような違いもありますね。
- ミストラルの影響
- 北:優良な畑は南向きで、ミストラルの影響が弱まる
- 南:ミストラルの影響強い
- グルナッシュはブッシュヴァインにする ※地熱も利用できる仕立て方
- 風に弱いシラーは棚で支える
- 北側に防風林
- 土壌
- 北:花崗岩(ボージョレの続き)
- 南:優良な畑は石が多く畑が温められやすい(ex.ギャレ@シャトーヌフ・デュ・パプ)
第1回、第2回はこのような感じでした! 論述させられそうな範囲は割と広くカバーできているのではないでしょうか。フランス南部のほうは取り上げられませんでしたが、いったんこのあたりで次回、ドイツ・オーストリア・ハンガリー・ギリシャに進みます。次回もとっても楽しみです!