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2023年4月

2023年4月の月報です。

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「通勤」の発生

コワーキングスペースの会員になった。長らく在宅メイン、たまに適当にカフェ利用みたいな生活を続けてきたが、これでついに、仕事専用の居場所みたいなものができた。それに伴って、通勤という概念も生まれた。

契約したコワーキングスペースは家からバスで15分ちょっとの場所にあるが、バスは使わず歩いて通うことにしている。しゃきしゃきと歩けば30分ぐらいで着くし、お散歩ノリで寄り道しながら行っても40分ぐらい。いろんな道を通ってみて、行ってみたいお店を発見したりとか、新生活という感じがすごくする。

鴨川沿いにも行けるので、この季節は本当に最高です。夏と冬はどうなるだろうか……、4月の中旬ごろからこの生活を続けて、身体の調子が少しだけ上向いてきたような気がするから、なるべくがんばって続けたい気持ちではある。

人はみな何かをつくりたくなるのか

最近自社事業として、初のプロダクトづくりに取り組み始めている。それを知人・友人に話すと、「実は自分も最近……」という人が何人もいておどろく。話を聞いていると、とにかく何かつくりたくなって、という気持ちが共通していることが多い。

何かをつくるのは楽しい。音楽を演奏したり文章を書いたりといった趣味も、ある意味ではものづくりに含まれるのかもしれないけれど、そうではなく「形のある何か」をつくることにしかない種類の楽しさがあると思う。とにかく何かつくりたくなるというのは、無意識でその楽しさを求めているということなんだろう。

そういった欲求を今までわたしは、お洋服作りとか編み物のように、基本、一人でできる趣味で満たしてきた。けれど今回は信頼できる人たちとのチームでひとつのものをつくっていて、楽しさが増幅していて、すごいなあこんな楽しみが世の中にあったのか、と日々うれしくなっている。

ものづくりって、つくりあげた瞬間に「あ、これだめだ」って成果物を憎んでしまったり、それどころか全然興味をもてなくなってしまうケースもあってそれが個人的にとても悲しい。作り手にすら愛されないものをこの世に生み出してしまったことへの罪悪感に押しつぶされる。そうならないように、ずっと愛せるものがつくりたいなといつも思うけど、そうできる自信がなくて、つくること自体を途中でやめてしまうこともよくある。

でも複数人で取り組んでいると、絶対に良いものができると励ましてくれる人がそばにいて、それがこんなに心強いとは思わなかった。わたしも誰かの創作を支えられるような存在になりたいし、その結果世の中がめちゃくちゃ良いものであふれてほしいと思う。これは、形のあるものに限らず。

母の生活史インタビュー

社会学者の岸政彦氏がいつか提唱された「親の生活史を聞き書きして記録を残す」という取り組みに挑戦していて、今のわたしにとって親というのは母だけなので、この前、母に人生の話を聞いてきた。

母の人生は、そのへんのドラマよりもずっとドラマティックな展開で正直びっくりした。よくここまで生きたなあと思うほど波瀾万丈だった。

話を聞く途中で当然、自分の知らない母、つまり「母」ではないときの顔、が次々と立ち現れてくる。混乱もしたけれど、わたしはめちゃくちゃ嬉しかった。願わくば、わたしなんかを産まずにそっちの顔でずっと生きていってほしかったなあ、とも思うが、人間というのはそんな単純なものではなく、いろんな顔が互いに影響しあってその人の全体を成り立たせているのだろう。

全部で6時間半ぐらいのロングインタビューとなった。このあと録音を書き起こして整え、彼女の還暦に合わせて本の形にしてプレゼントしようと思う。

久しぶりの室内楽本番

月末、関西音楽計画の演奏会に出演させてもらった。ミヨーの《ヤコブの夢》という、オーボエと弦4本の作品を演奏した。

最初は全然よくわからん曲だと思っていたけど、練習を重ねるにつれて曲の魅力に取り憑かれていった。本番の演奏中が一番、「なんていい曲なんだろう」という気持ちが強くて、これ以上幸せな演奏体験はない。

よい本番にはいつも、寂しさが伴う。この場で、このメンバーで、このわたしでこの曲を演奏するのはこれで最後なんだということがとてつもなく寂しい。それを感じられたので、今回は本当によい本番だった。がんばってよかったね。死ぬまでにあと何回この寂しさを味わえるのかなと、ふと考えることがある。

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京都在住。創造的なことすべてに興味があります。

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