先週末、久しぶりの本番があった。コロナ禍であらゆる演奏会が中止か延期になる中、唯一開催までこぎつけた室内楽の演奏会である。ステージ上の人数が少なく済むこと、そして原則として観客を呼ばないことでなんとか実現した本番だ。久しぶりのステージは本当に楽しかった。先の見えない状況のなかで運営してくださった方々に感謝しかない。
いろいろな人の演奏を聴いた。普段はなかなか触れない編成もたくさんあった。ユーフォニアムの音を聴いたのは何年ぶりなのだろう?
チームの数だけ音楽があり、異なる表現がある。今日一番好きだったのは、ベートーヴェンのオーボエトリオのトリオダンシュver. だった。客席で、ああこの演奏はすごくいいなあ、と思いながら、どうして自分はこれが好きなのだろうかとぼんやり考えた。
たぶんわたしがその演奏をいいなと思ったのは、限りなく日常会話に近かったからだと思う。「がんばった成果を発表します」ではないところを好きになったのだ。
おそらく、室内楽曲の素敵な演奏とは、喫茶店で隣から聞こえてくる面白いおしゃべりのように自然で、かつ漫談のように計算されつくしているような演奏をいうのだろう。(オケも、それの拡大版なのかもしれない)
自分は結局そういうものを、人間どうしの「偶然の」やりとりや関係性を聴きたくて演奏会に足を運んでいるのだということがわかり、したがって自分がステージに立つときにもそういうものを目指したいと思えた。よい機会だった。うまくなりたい。
1