小説– tag –
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嫌い、でもべつによくなった
江國香織『去年の雪』を読んだ。なんと100人以上が登場する小説である。しかも、舞台となる時代も場所もばらばら。ちっちゃな粒粒が四次元レベルで近づいたり遠ざかったりするのを、ずっと、ぼんやりながめていた。 江國香織を読むのは何年振りだろう。湿... -
古井由吉『杳子・妻隠』
わたしたちがたいていの場合まっすぐ歩けるのは周りのあらゆるものが存在感を隠してくれているおかげでしかなく、物体たちがいちど本当の姿を表し始めると、あんなにも慣れ親しんでいたはずの世界は人間の認識できる範囲をすぐさま超越し、目の前がぐらつ... -
宇佐美りん『かか』
https://twitter.com/seramayo/status/1203976564175585281 https://twitter.com/seramayo/status/1204334257281191938?s=20 https://twitter.com/seramayo/status/1204334880919654401?s=20 なんで「自傷読書」か。それは、この小説のさわりをちょっと立... -
川上未映子『夏物語』と『現代思想:反出生主義を考える』を読んだわたしのとりあえずの考え
少し前のニュース。 出生数90万人割れへ 19年、推計より2年早く:日本経済新聞https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50672490W9A001C1MM8000/ まだ90万人も生まれていること、生まれさせることを決めた親が90万組もいることにむしろ驚愕する。わたしはそ... -
大前粟生『回転草』
ほんとうに羨ましい、と思った。 わたしが置いてきたもの。思春期の夜、溢れ出して止まらなかったもの。眠りを妨げたもの。無茶な恋愛を引き起こしたもの。「どうせ誰にもわからない、あなた以外には」みたいなことを思わせる、自分の肋骨の真ん中にあり続... -
村上龍『愛と幻想のファシズム』
夫に勧められて、貸してもらって読んだ。どうしようもない気持ちになるけれど、面白いよ、と。村上龍を読むのは何年ぶりだろう?たしかに面白い。断定口調の短文が読点で連なってゆく文体は、スピード感と重みを同時に伴い、有無を言わさぬ強さを持つ。し...
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