月末かつ週末。
起床即練習、と決めていた。もうすぐ、何ヶ月ぶりかの室内楽の合わせがある。木5をやるのは何ヶ月どころの騒ぎではない、いったい何年ぶりなのだろう、まったく思い出せない。そろそろ本腰を入れて練習しておかなければ、合わせの日が目前となったときに絶対「あかんもうむり行きたくない、メンバーを抜けたい、ていうかわたしなんかにオーボエっていう楽器は向いてなかったんや」となり、ゴミ捨て場に楽器ケースごと置いてきてしまい、収集されてから「なんであんなことしたんや」となって号泣した末に、合わせどころか人生全体に本格的に嫌気が差して、数ヶ月はお布団にこもりきりになるに違いない。
つまりわたしにとって練習とは定期的に飲まなければいけない薬のようなものなのだ。というのが金曜の晩に生まれてはじめてわかり、土曜の朝に練習するという決意を固めてから眠ったのだ。
起きてみると、いつもどおり、練習が死ぬほど嫌である。自分よりも練習嫌いな人間がこの世にいたら会ってみたい。わたしは自分の練習嫌いをよく知っているので、すでに対策を打っておいた。前夜、同居人に「絶対に練習させてください」と依頼しておいたのだ。彼は比較的、昨日と今日をつなげるのが得意なタイプであるため、起きるなり「練習するんやんな?」と語りかけてきた。わたしはそんなことを言った昨日のわたしを怒鳴りつけたい気持ちで、ベッドのよりいっそう深いところに潜り込んだが、相手としてもわたしが練習を怠った末の悲劇を何度も横で見てきており、なんなら後始末をさせられたこともあるため、すぐには引き下がらない。
……と、ここまで書いて面倒になった。そのあといろいろありつつも無事に練習に着手し、珍しく、想定していた時間を超えて練習しすぎたために、練習より優先度が高いと思われたことがあまりできずに終わった、けど、それを差し引いても「心ゆくまでちゃんと練習した」という満足感はその後の週末全部を楽しく過ごすのにじゅうぶんなものであった。けっこう忙しかったにも関わらずこれほど充実感をもって過ごした休日が今までにあっただろうか。やっぱり練習はすごい。①取り掛かることができれば、そして②使えるリードさえあれば、絶大な効果をもたらす……今回は②の条件によって支えられたところが大きい……リードがなくなったらどうなることか、控えのリードをもっとたくさん作っておかなければ……と考えていたらジェットコースターのように気持ちが沈んできた。考えてはいけない。快活に生きるためだけにレジェールリードを買うべきかもしれない。
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